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高まる環境不動産への関心

国交省がポータルサイトを立ち上げ

2010月3月16日掲載

 環境に配慮した不動産(環境不動産)の
普及と取引の活性化に向けた施策を検討し
てきた国土交通省の「環境価値を重視した
不動産市場のあり方研究会」は10日、第
2回会合を開催し、WGなどで検討してき
た議論をふまえた報告書をまとめた。
 社会構造が大きく変容するなかで、不動
産には量的な拡充よりも質的な向上が求め
られている。特に環境問題における不動産
の存在感は大きく、不動産分野(業務部門
や住宅部門)におけるCO2排出量は日本
全体のCO2排出量の3分の1を占め、い
まだに増加基調にあるのが現状だ。
 今後、不動産分野として果たす役割とし
て、環境面で持続可能な環境価値の高い不
動産(環境不動産)のストック形成してい
くことは極めて重要である。しかし、不動
産市場の現状は、省エネなど持続可能性(
サステイナビリティ)の向上に資する環境
性能の重要性は価値として認識・評価さ

れていない。報告書は、環境不動産の経済
価値の評価・分析と、投資家に求められる
情報整備のあり方について検討し、とりま
とめたもの。
 検討にあたっては、(1)環境性能評価
の有無が市場価格に影響を及ぼしている
か(2)環境性能評価水準が市場価格に影
響を及ぼしているか−の2つの視点から分
析。分析結果から、東京都マンション環境
性能表示がされているマンションの新築時
の分譲価格が表示義務のないマンションと
比較して、5・9%程度価格が高くなって
いること。また、自治体版CASBEE届
出制度(横浜市・川崎市)による評価がな
されているマンションについても、届出義
務のないマンションと比較して2・9%程
度高くなっていることが判明した。
 一方、環境不動産のストック形成のため
には、経済価値や優良事例などの情報が広
く分かりやすく発信される必要がある。

また、環境性能を簡易に診断できる手法や
、環境不動産投資インデックス等の研究開
発が求められるとした。
 情報提供では、国内の先進的な環境不動
産の取り組み事例をまとめたベストプラク
ティス集の作成。環境不動産に投資する経
済的メリットなどの情報を提供するポータ
ルサイトの設置を提言。ポータルサイトで
は、(1)環境不動産の内容(2)環境に
配慮することによる経済的メリット(3)
環境不動産の優良事例(4)東京都などが
実施する環境性能評価の仕組み(5)環境
規制の現状―などを盛り込む予定。
 「環境不動産ポータルサイト」は、3月
下旬から4月にかけて、同省が運営する

サイト「土地総合情報ライブラリー」のな
かに設置。開設以降も、環境性能と経済的
メリットとの関係を分析し、結果を公表し
ていく考え。